白線の上を走りたい

おじさんローディーのロードバイク散財記録

プーリー・プレートユニットのメンテナンス

今回は、プーリー・プレートユニットのメンテナンスを取り上げる。

f:id:manayuzu34:20180331071753j:plain

プーリーはリアディレイラーに付いている歯車状のパーツで、ガイドプーリーとテンションプーリーの2つがあり、前者はギア変速時のチェーンの誘導、後者はチェーンを最適なテンションに保つ役割がある。

回転数という観点では、ロードバイクで最も回転する箇所であると言える。
誇張なしで1hのライドで数万回も回転するこのパーツ、その寿命を全うするまでに何百万回、人によっては何千万回というオーダーの回転数となるため、さぞかし頑丈な素材で出来ていると思いきや、本体の大部分は樹脂製だったりする。(当方所有は5800系105コンポ)

f:id:manayuzu34:20180331071858j:plain

そんなロードバイク界の回転数ランキングトップに君臨するこのプーリー、、、酷使されている割には整備上軽視される傾向にあるため、分解してメンテナンスしてやらないわけにはいかない。。。

「きのこたけのこ戦争」の如く、プーリーにはグリスなのかオイルなのかの論争は尽きないようであるが、こと105プーリーに関しては、当方が大好物のグリスアップは基本的には必要ないようである、、、むしろ必要ないというより、105プーリーの構造上塗布したグリスが短期間で流れ出てしまうため、意味がないということらしい。(但し、取付けボルトのグリス塗布はする)
そんな情報を入手する数週間前に、当方は律儀にもプーリーのグリスアップを実施しており、今回はそのグリスの洗浄も兼ねてプーリーのメンテナンス手順についてまとめる。
また、プーリーは「プレートユニット」なる聞き慣れないパーツで支持されているが、このプレートユニットのメンテナンスについても併せて取り上げる。

※ 今回、取外した105プーリーの構造をマジマジと観察してみて感じたあくまでも個人的な見解だが、、、回転部の中心である金属スペーサー外周部が潤滑ポイントと思われ、プーリーが取付いた状態ではそこが密閉状態になるため、外からのピンポイント注油は難しそうな気がした。
よって、グリスアップも悪くないのでは...という印象を受けたが、とりあえず今回はオイルによる潤滑をターゲットにした内容にする。

 

 

購入アイテム

以降に、今回の作業に関連して追加購入したグッズについて、説明を添えながら列挙していく。(記事中の特記なき記載額は執筆時Amazon価格)

 

  •  ¥7,480

サンワダイレクトの「800-BYWST1」という自転車用メンテナンススタンドである、、、サンワというと個人的にはPC周辺機器販売のイメージが強く、こんなモノも扱っているというのは少々意外であった。
以前は、安物の三角支持スタンドを使用していたのだが、メンテナンス用途には不向きだったため、本製品の購入に踏み切った。

メンテナンススタンドは、物によってはかなり高額になる製品もあるが、本製品は比較的安価なわりには満足度が非常に高く、正直価格相応な多少のチープ感は否めないものの、なによりメンテナンス性が飛躍的に向上した。
作業時は、目線の高さにメンテ対象をポジショニング出来る幸せを噛み締めつつ「今オレ...メ、メンテナンスしてるぜ感」が存分に堪能できると共に、作業後にはアームに支えられ宙に浮いた状態で部屋中央にディスプレイされた愛機を恍惚と眺め、それをおかずにご飯3杯はいける。

当方は、本製品のポテンシャルを最大限に引き出すため、メンテナンスに必要な各種レンチソケットを配列したホルダーを括り付け、更に「メカニック感」を増幅させる演出を施しているが、おそらく傍から見れば「厨二感」が倍増されているだけに過ぎない。

f:id:manayuzu34:20180331072228j:plainf:id:manayuzu34:20180331072236j:plain

特に工具置きが便利で、頻繁に使う工具類を順序よく並べて配置することで格段に作業効率が上がった。
また意外な盲点であったのだが、導入後の予想外の効果としては、ロードバイク本体が目線の高さに来ることで、汚れがあると目立って気になるため、清掃頻度が上がり常に綺麗な状態を保つようになったことである。

 

 

  •  ¥1,897

庶民ローディーの味方PWT のチェーンキーパー「CKT22」、正直PWTにしては少々値が張る印象があるこの製品、、、チェーンキーパーツールというネーミングだが、要はローラー付きのエンド金具である。

リアホイールを取外した状態でメンテナンス作業をする際、チェーンが垂れ下がりチェーンステー等を傷付ける可能性があるが、本製品を使用することでそれを回避出来る。
また、リアホイールがない状態でも気兼ねなくクランクを回すことが出来るので、チェーン・クランク・リアディレイラー・プーリーといったパーツ清掃時の作業性が飛躍的にアップする。
まだ試したことはないが、ロードバイク輪行時や車載時のチェーン暴れ対策にも効果があるようだ。

ちなみに当方が購入を決めた最大の理由は、リアホイールなし状態のロードバイクを前述のメンテナンススタンドにセットした際、だら〜んとチェーンが弛んでいるシルエットがどうしても美観的に許せなかったことにある。

 

 

作業対象となるプーリー

当方所有のシマノ105リアディレイラーは「RD-5800-SS」という型式で、これに付属されるプーリー「Y5XE98030」を作業対象とする。

リアディレイラーには、SS(ショートケージ)とGS(ロングケージ)の2タイプがあり、リアスプロケットの最大ギアが28T以下の場合はSS、28T超過の場合はGSが適合する。(11-28Tの場合はSS・GSどちらでも適合可能)
105プーリーは、SSとGSで品番が異なるため注意が必要である。(ちなみにRD-5800-GS対応プーリーの品番は「Y5YE98090」)

プーリーの構造としては、アルテグラデュラエースがシールドベアリングであるのに対し、105はブッシュタイプというベアリングボールがない作りになっている。

幼少時代にブッシュマンという映画があったのをここで急に思い出す...
内容は1mmも思い出せないが、主人公ニカウさんの顔はいまでも鮮明に覚えている。。。

今回の作業は、プーリーとプレートユニットを取外して洗浄・メンテすることが主な目的である。

 

 

準備品

① 2mm、3mmアーレンキー (六角レンチ)
② パーツクリーナー
③ ウエス
④ チェーンオイル
⑤ グリス (デュラグリス)
⑥ ピンセット

f:id:manayuzu34:20180331072449j:plain

 

必須ではないが「メンテナンスしたった感」が増幅するもの

⑦ デジタルトルクレンチ (SDT3-060)
⑧ トルクレンチ用3mmヘックスビットソケット
⑨ エンド金具 (CKT22)
f:id:manayuzu34:20180331072511j:plain

 

 

プーリー・プレートユニットのメンテナンス手順

 

f:id:manayuzu34:20180331072550j:plain👆【リアホイール取外し】
作業性アップのため、リアホイールを取外す。
(エンド金具を取付ける)

 

 

f:id:manayuzu34:20180331072634j:plain👆【テンションプーリー(下側)取外し】
3mmアーレンキーを使用し、写真矢印方向へ回してテンションプーリーを取外す。

 

 

f:id:manayuzu34:20180331072712j:plain👆【ガイドプーリー(上側)取外し】
3mmアーレンキーを使用し、写真矢印方向に回してガイドプーリーを取外す。
ガイドプーリーと共にプレート(内側)が取れる。

 

 

f:id:manayuzu34:20180331072749j:plainf:id:manayuzu34:20180331072755j:plain👆【プーリー分解・洗浄】
各プーリー・プレート(内側)を分解して洗浄する。

⚠️ ガイドプーリーとテンションプーリーの部品は一部異なるので区別して作業する。

 

ガイドプーリー(左)は取付け方向はないが、テンションプーリー(右)は取付け方向がある。👇

f:id:manayuzu34:20180331072850j:plain

 

 

f:id:manayuzu34:20180331072926j:plainf:id:manayuzu34:20180331072936j:plainf:id:manayuzu34:20180331073010j:plain👆【プーリー注油・組立て】
プーリーの中心部にオイルを垂らし馴染ませた後、組立てる。


以降は、プレートユニットのメンテナンス手順を示していく。
取外し対象となるプレートユニットのパーツは、プレート・ストッパーボルト・Pテンションスプリングであるが、本パーツ類についてはそれほど頻繁なメンテナンスは必要ないと思われる。

本手順を省略する場合は、最後から数えて3つ目の【ガイドプーリー・プレート(内側)仮止め】手順へ。

 

 

f:id:manayuzu34:20180331073114j:plainf:id:manayuzu34:20180331073130j:plain👆【ストッパーボルト取外し】
2mmアーレンキーを使用し、写真矢印方向に回してストッパーボルトを取外す。

 

 

f:id:manayuzu34:20180331073210j:plainf:id:manayuzu34:20180331073221j:plain👆【プレート(外側)取外し】
手で写真矢印方向に回してプレート(外側)を取外す。

⚠️ プレートがスプリングを押さえ付けている機構につき、プレートには飛び出す力が掛かっているためにしっかり押さえながら作業する。

 

 

f:id:manayuzu34:20180331073256j:plainf:id:manayuzu34:20180331073304j:plain👆【Pテンションスプリング取外し】
ピンセットでPテンションスプリングを取外す。

 

 

f:id:manayuzu34:20180331073346j:plain👆【プレートユニット類洗浄】

 

 

f:id:manayuzu34:20180331073419j:plainf:id:manayuzu34:20180331073429j:plainf:id:manayuzu34:20180331073504j:plainf:id:manayuzu34:20180331073512j:plain👆【Pテンションスプリング取付け】
Pテンションスプリングとバネ格納部をグリスアップし、バネ穴にセットする。

※ 上の写真は、グリスを付け過ぎるとこのように溢れ「この後床に垂れて慌てふためく」というパニック事例を示したものである。

 

Pテンションスプリングの先端がバネ穴に上手くはまると、このような飛び出し具合になる。👇

f:id:manayuzu34:20180331073605j:plain

 

 

f:id:manayuzu34:20180331073635j:plainf:id:manayuzu34:20180331073646j:plainf:id:manayuzu34:20180331073657j:plain👆【プレート(外側)取付け】
プレート軸をグリスアップし、Pテンションスプリングの先端をプレート穴に差し込んだ後、手で写真矢印方向に回してプレート(外側)を取付ける。

 

プレートストッパーピンがストッパーに引っかかり、写真の状態になるようにセットする。👇

⚠️ 飛び出し方向にバネ力が掛かっているため注意。

f:id:manayuzu34:20180331073741j:plain

 

 

f:id:manayuzu34:20180331073806j:plainf:id:manayuzu34:20180331073816j:plain👆【ストッパーボルト取付け】
グリス塗布したストッパーボルトを2mmアーレンキーを使用し、写真矢印方向へ回して取付ける。

[締め付けトルク : 0.88-1.27N・m]

⚠️ ストッパープレートをしっかり押し込んだ状態でボルト締め付けを行う。

 

 

f:id:manayuzu34:20180331073850j:plainf:id:manayuzu34:20180331073857j:plain👆【ガイドプーリー・プレート(内側)仮止め】
取付けボルトにグリス塗布し、3mmアーレンキーを使用してガイドプーリーとプレート(内側)を仮止めする。

 

 

f:id:manayuzu34:20180331073929j:plainf:id:manayuzu34:20180331073937j:plain👆【テンションプーリー・プレート(内側)仮止め】
チェーンを写真のようにルーティングし、グリス塗布した取付けボルトにてテンションプーリーを仮止めする。

⚠️ テンションプーリーは取付け方向に注意。

 

 

f:id:manayuzu34:20180331074012j:plainf:id:manayuzu34:20180331074018j:plain👆【プーリー本締め】
3mmアーレンキー(この場合は、デジタルトルクレンチ+3mmヘックスビット)を使用し、写真矢印方向に回してガイドプーリー・テンションプーリーを取付ける。

[締め付けトルク : 2.5-5N・m]

⚠️ 最後に念のため、「ガイドプーリーとテンションプーリーの取付け位置が逆になっていないこと」「テンションプーリーの向きが正しいこと」を確認する。

 

 

散財記録

最後に、今回の記事に載せたロードバイク関連グッズのうち、当方が実際に散財した費用を計算してみる。(実際はネット購入・店頭購入したものが混在するが、執筆時のAmazon価格を購入価格として計算している)
尚、前回までに計上したグッズについては、今回の散財合計額には含んでいない。

※ 当ブログは利便性の観点からAmazonへのリンクを多用した構成になっているが、決してAmazonのまわし者というわけではない、またアフィリエイト報酬を受け取るような設定はしていないため (設定の仕方が分からないだけともいう...)、安心してリンク先でポチって頂いて構わない。

 

 

今回の散財合計額 : ¥9,377
前回までの散財額 : ¥34,441

トータル散財額 : ¥43,818

まだそれほど騒ぐ額ではないわな。。。

 

次回は、ヘッドパーツまわりのメンテナンスを取り上げる。