白線の上を走りたい

おじさんローディーのロードバイク散財記録

リアハブのグリスアップ

前回は、フロントハブのグリスアップ手順を記事にしたので、今回はリアハブのグリスアップ手順を取り上げる。

フロントホイールはシンプルな作りであるのに対し、リアホイールはスプロケットが付く構造になっているため、フロントハブのグリスアップ作業と比較すると必要工具や工程が増え、メンテナンスの難易度は上がる。

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ちなみに前回記事に書いたが、下記のような背景があり、よせばいいのにハブのグリスを「デュラグリス」から「AZウレアグリース」に入れ替えるという今回の作業に発展している。

 

前回記事より...

当方、ローディー御用達の品「シマノのプレミアムグリス(デュラグリス)」を保有しており、つい数週間前にフロント・リアハブともグリスアップしたばかりで、これが昨年ロードバイクを購入後初のハブグリスアップになる。

グリスアップ後のライドではホイールが以前よりスムーズに回るような感覚が体感でき、特に不満という不満はなかった。

自ら実施したハブグリスアップの効果(半分はプラシーボ効果かも知れないが...)に満足し、しばし恍惚感に浸るのも束の間、、、ハブのベアリング部のような比較的高回転になる箇所には、デュラグリスより軟らかいちょう度(グリスの硬さ)のものが適してるとのネット情報を得て、やめときゃいいのに新たなグリスを物色...

 

 

購入アイテム

前述したが、リアハブのグリスアップに必要となる工具は、フロントハブ時に使用したものとは大きく異なる。
以降に、当方がリアハブ用に追加購入した工具を簡単な説明を添えながら列挙していく。(記事中の特記なき記載額は執筆時Amazon価格)

ボルト類の締め付けトルクにまつわる過去の失敗体験を教訓にして、「指定トルクでの締め付けの徹底」にこだわって購入した工具も少なくないため、列挙した全ての工具が揃っていなければ、リアハブのメンテナンスが出来ないという訳ではない。

 

 

  •  ¥1,389

スプロケットを固定しているロックリングの取付け・取外しに使用する。
チェーンが付いている方がチューナーで、取外し時は必要だが取付け時には使わない。
チェーンが付いていない方がリムーバーで、こちらは取外し時・取付け時とも使用する。
台湾に製造拠点を置くこのPWT社(日本の商社系メーカー?)が扱う製品はコスパに優れ、庶民ローディーの強い味方である。 (シマノプロの工具は無駄に高いんじゃ!)  

 

 

【アストロプロダクツ】AP フリーホイールリムーバー

【アストロプロダクツ】AP フリーホイールリムーバー

 
  • ¥604

スプロケット取付け時、差込角12.7mmSQ (1/2inch)のトルクレンチアダプターに装着し、指定トルクでの締め付けを実現するために追加購入(店頭購入)した。
特に指定トルクにこだわらない場合は、必要のない工具である。
アストロプロダクツは日本の整備工具専門ショップで、比較的リーズナブルな価格設定が特徴的であり、車やバイクの整備用品が充実している。
当方が購入した樹脂製商品に限っていうと、製品の仕上げ処理(バリ等)に多少ワイルドなものも見受けられたが、工具類は普通に遜色なく使えている。
比較的近場に店舗があり、当方が実際足を運んだことがあるのは2店舗のみであるが、いずれの店員の対応も親切丁寧でスタッフ教育が徹底されている印象を受けたのと、店内で多数陳列された工具群を目の前に、本能的にテンションが「たぎる」という理由から最近愛用し始めた。

ちなみに当初購入を検討していたが、上記製品を見つけたため購入を見送った同様な仕様のシマノ純正品「TL-LR10」がこちら👇  (無駄に高いんじゃ!) 

  • ¥1,545

 

 

SK11 デジタルトルクレンチ 差込角 9.5mm 3~60N・m SDT3-060

SK11 デジタルトルクレンチ 差込角 9.5mm 3~60N・m SDT3-060

 
  • ¥10,313

ロードバイクの整備は締め付けトルク指定がシビアであり、本トルクレンチはボルト類を指定トルクで締め付けるために使用する。
特に指定トルクにこだわらない場合は、必要のない工具である。
本工具の使用レビュー、また締め付けトルクにまつわる当方がしでかした大失敗事例等、追って記事にする予定である。

 

 

  • ¥657

差込角9.5mmSQ(3/8inch)のデジタルトルクレンチ「SDT3-060」を、差込角12.7mmSQ (1/2inch)に変換するためのソケットアダプターで、前述のAPフリーホイールリムーバーと合わせて使用することで、スプロケット固定用ロックリングを指定トルクで締め付けることが可能になる。
特に指定トルクにこだわらない場合は、必要のない工具である。

 

 

SK11 ソケットセット 6角 SHS308M クリップ色:赤 差込角:9.5mm 8点 1セット

SK11 ソケットセット 6角 SHS308M クリップ色:赤 差込角:9.5mm 8点 1セット

 
  • ¥1,158

17mmの六角ソケットをデジタルトルクレンチ「SDT3-060」に装着し、リアハブのロックナットを指定トルクで締め付けるために使用する。
特に指定トルクにこだわらない場合は、必要のない工具である。

 

 

  • ¥2,169

10mmのヘックスビットソケットをデジタルトルクレンチ「SDT3-060」に装着し、リアハブのフリーホイール部を指定トルクで締め付けるために使用する。
本セットは、ロードバイクにある多くのボルト締め付けに使用できるため、差込角9.5mmSQ(3/8inch)のレンチを所有している場合は持っていて損はない。

 

 

  • ¥2,101

 

 

作業対象となるリアハブ

作業対象となるホイールは「シマノ WH-RS010」、ロードバイク用の最安シマノホイールで、多くのつるし(完成車)に付属され、前後ペア重量1890gのいわゆる「鉄下駄」と揶揄されるホイールのひとつである。

多くのローディーが遅かれ早かれ、よりハイスペックなホイールに乗り換えていくという通過儀礼が慣習化している中、完成車購入当初は苦楽を共にし、切っても切れない相棒のような存在だったにもかかわらず、新しいホイールに乗り換えられた途端に見向きもされなくなる悲劇のホイールである。

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準備品

① 15mmハブスパナ (厚みが薄いスパナ)
② 17mmスパナ (モンキーレンチ、ハブスパナでも可)
③ グリス (ウレアグリース)
④ パーツクリーナー
⑤ ウエス
⑥ ピンセット
⑦ フリーホイールリムーバー・チューナー
⑧ 10mmアーレンキー (六角レンチ)

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必須ではないが「メンテナンスしたった感」が増幅するもの

③ グリスガン
⑨ デジタルトルクレンチ (SDT3-060)
⑩ ロックリング抜き工具 (TL-LR10相当品)
⑪ トルクレンチ用ソケットアダプター 9.5→12.7mmSQ変換 (SAD34)
⑫ トルクレンチ用17mm六角穴ソケット
⑬ トルクレンチ用10mmヘックスビットソケット

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リアハブのグリスアップ手順

f:id:manayuzu34:20180328210256j:plainf:id:manayuzu34:20180328210311j:plainf:id:manayuzu34:20180328210445j:plain👆【クイックレリーズ取外し】

 

 

f:id:manayuzu34:20180328210543j:plainf:id:manayuzu34:20180328210655j:plain👆【ロックリング取外し】
フリーホイールチューナー(チェーン付き工具)でスプロケットを固定した状態で、リムーバーを写真矢印方向に回してロックリングを取外す。

ちなみに、武器として対ゾンビにでも使えそうな見た目が派手なチューナーであるが、なんと出番はたったこれだけである。。。

⚠️ 撮影の関係上、写真では斜めに傾けて撮っているが、取外しにはかなり力を要するため、実際の作業時はホイールを垂直に立てしっかり地面に対し荷重が掛かるようにする。

 

 

f:id:manayuzu34:20180328210758j:plain👆【スプロケット取外し】
後述する取付け時にはスプロケットの組立て順序があるが、例えバラバラになっても、意外と組立ては分かりやすい(付くようにしか付かない)ので、それほどナーバスになりながら取外す必要はない。

 

 

f:id:manayuzu34:20180328210830j:plain👆【スプロケット洗浄】
写真右下のギア三枚は、一体型につき分解不可。

 

 

f:id:manayuzu34:20180328210941j:plain👆【ロックナット締め合せ解除】
15mmハブスパナを固定した状態で、17mmスパナの方を写真矢印方向に回して、フリーホイールと反対面のロックナットの締め合せを解除する。

ちなみにフロントハブ取外し時は、13mmハブスパナを使用したが、リアは15mmでサイズが異なる。

 

 

f:id:manayuzu34:20180328211022j:plain👆【ロックナット取外し】

 

 

f:id:manayuzu34:20180328211052j:plain👆【軸間座(スペーサー)取外し】

 

 

f:id:manayuzu34:20180328211126j:plain👆【玉押し取外し】
手で回して取れるが、玉押しを回すより裏側からハブ軸を回した方がやりやすい。

※ この玉押しはコーンとも呼ばれ、カップ状のワンに内包されたベアリングボールを玉押し(コーン)で押さえて回転を調整する機構、、、これが「カップアンドコーン」である。

※ 赤と青の色違いのジャージを身にまとい、一方がギターを弾き、もう一方がおかしな踊りを踊りながら、日常の何気ない疑問に対し「なんでだろ~」を連呼するお笑いコンビ、、、これが「テツアンドトモ」である。

 

 

f:id:manayuzu34:20180328211210j:plain👆【ハブ軸取外し】
フリーホイール側(スプロケットが付いていた面)からハブ軸を抜く。

数週間前にデュラグリスでグリスアップしたため、さすがにまだグリスコンディションはよく、変色・劣化等はしていない。

 

 

f:id:manayuzu34:20180328211235j:plain👆【ベアリングボール取外し】
ピンセット等を使用し、左右(ホイールを立てた時の左右)のベアリングボールをそれぞれ取外す。(WH-RS010リアハブのボールは左右それぞれ9個ずつ)

ちなみに左右のベアリングボールは磨耗状態が異なるため、厳密には混在させない方がよいらしく、こだわる方はきちんと分類しながら取外しているようである。
当方は  めんどっちいので  作業性の観点から多角的に判断し、こだわらない方針としている。

 

 

f:id:manayuzu34:20180328211310j:plainf:id:manayuzu34:20180328211315j:plain👆【ハブ内洗浄】
エス・パーツクリーナーを使用し、ハブ内を洗浄する。

 

 

f:id:manayuzu34:20180328211412j:plain👆【フリーホイール部取付ボルト解除】
10mmアーレンキーを使用し、写真の矢印方向に回してフリーホイールを取外す。

 

 

f:id:manayuzu34:20180328211445j:plainf:id:manayuzu34:20180328211456j:plain【👆フリーホイール部取外し】
写真右がフリーホイール部、左がフリーホイール部の中央から取り出した取付ボルトである。

シマノのディラーマニュアルによると、フリーホイール部の分解は非推奨となっていて、取付ボルトを除き、油・グリスの注入も行わないよう記載がある。
おそらくこれはフリーホイール内部のラチェット部への注入禁止を指しているのであろう。

 

⚠️ フリーホイール部の反対側。👇
外周部の隙間には、注油(オイル・グリスとも)はしないように注意することにする。(パーツクリーナーも避けた方が無難か)f:id:manayuzu34:20180328211553j:plain

 

 

f:id:manayuzu34:20180328211631j:plain👆【当り面座取外し】

 

 

f:id:manayuzu34:20180328211725j:plainf:id:manayuzu34:20180328211739j:plain👆【ハブ部パーツ洗浄】
エス・パーツクリーナーを使用し、各部位を洗浄する。

 

 

f:id:manayuzu34:20180328212032j:plain👆ベアリングボールは茶漉しがあると洗浄しやすい。

当方は100均の「茶漉し」と「おたま置き」を融合した、これまでに類を見ない全く新しいハイブリッド洗浄システムを開発し、パーツクリーナーを吹き掛けながらボールを洗浄しているが、これがなかなか使い勝手がよい。

 

 

f:id:manayuzu34:20180328212103j:plain👆フロントハブ同様、玉押しの虫食い症状が見られる、、、これがあるとベアリングのザラツキ・ゴロツキにつながり、ハブ回転抵抗の増加要因となる。

み、見なかったことにする...

 

 

f:id:manayuzu34:20180328212133j:plainf:id:manayuzu34:20180328212142j:plainf:id:manayuzu34:20180328212150j:plainf:id:manayuzu34:20180328212234j:plain👆【フリーホイール部取付け】
当り面間座、フリーホイール部をセットした後、グリスアップした取付ボルトを差し込み、10mmアーレンキー(この場合は、トルクレンチ+ヘックスビット)を写真矢印方向に回して取付ける。

[締め付けトルク : 35-50N・m]

 

 

f:id:manayuzu34:20180328212332j:plainf:id:manayuzu34:20180328212343j:plainf:id:manayuzu34:20180328212404j:plainf:id:manayuzu34:20180328212411j:plain👆【グリスアップ・ボールセット(フリーホイールの反対側)】
(グリスガンを使用し) フリーホイールの反対側のカップにグリスを適量注入し、ベアリングボールをセット後、ボールをコーティングするように再度グリスを注入し、グリス塗布済みの玉押しを被せる。

 

  

f:id:manayuzu34:20180328212505j:plainf:id:manayuzu34:20180328212512j:plain👆【グリスアップ・ボールセット(フリーホイール側)】
ホイールをひっくり返し、フリーホイールのカップも同様にグリスアップとボールセットを行う。

 

 

f:id:manayuzu34:20180328212649j:plainf:id:manayuzu34:20180328212656j:plain👆【ハブ軸取付け】
グリス塗布したハブ軸を挿入し、手でネジ込む。(明らかに塗り過ぎである...)

 

 

f:id:manayuzu34:20180328212727j:plainf:id:manayuzu34:20180328212733j:plainf:id:manayuzu34:20180328212736j:plain👆【軸間座・ロックナット取付け】
ホイールをひっくり返し、軸間座(スペーサー)を取付け、ロックナットを手で軽くネジ込んだら、次の要領で玉当たり調整を行う。

⚠️ ロックナットはギザギザが外側になるように取付けること。

 

 

f:id:manayuzu34:20180328212914j:plainf:id:manayuzu34:20180328212924j:plain👆【ハブの玉当たり調整】
玉押しを手で可能なところまでネジ込んだら90°程度戻し、15mmハブスパナで玉押しを固定した状態で、17mmスパナ(この場合は、デジタルトルクレンチ+17mm六角穴ソケット)を写真矢印方向に回して、ロックナットの締め付けを行う。

[締め付けトルク : 30-50N・m]

※ ハブの玉当たり調整とは、ハブのベアリング部のカップ・ボール・玉押し間の隙間調整のことであり、玉押しとロックナットの締め合せによってこの隙間を最適化することである。

 

 

f:id:manayuzu34:20180328213014j:plainf:id:manayuzu34:20180328213024j:plain👆【玉当たり調整確認】
ホイールを立てた状態で、ハブ軸を上下に揺らしてもガタつきがなく、かつハブ軸を回転させてもゴリゴリ感がないことを確認する。
ガタつきやゴリゴリ感がある場合は、玉押しとロックナットの締め合せを解除し、再度調整し直す。(当方は納得がいくまで、最低でも5回はやり直す...)

 

 

f:id:manayuzu34:20180328213103j:plainf:id:manayuzu34:20180328213110j:plainf:id:manayuzu34:20180328213122j:plain👆【スプロケット取付け】
ギア数が書かれている方の面を上にして、スプロケットとスペーサー(樹脂製の黒いリング)を順番にセットしていく。
スペーサーは下から3~4枚目、上の3枚の間には挟まない。

スプロケット内側には複数の切り欠きがあり、その中でサイズ違いの切り欠きがひとつあるため、付くようにしか付かない。(スペーサーに極性はない...たぶん)

 

 

f:id:manayuzu34:20180328213313j:plainf:id:manayuzu34:20180328213321j:plainf:id:manayuzu34:20180328213346j:plain👆【ロックリング取付け】
グリス塗布済みのロックリングをスプロケットの一番上にセットし、フリーホイールリムーバー(この場合は、デジタルトルクレンチ+変換アダプター+ロックリング締め付け工具)を写真矢印方向に回して取付ける。

[締め付けトルク : 10-15N・m]

 

 

f:id:manayuzu34:20180328213425j:plainf:id:manayuzu34:20180328213432j:plain👆【クイックレリーズ取付け】
クイックレリーズを取付けて作業完了。

⚠️ タケノコバネの取付け向きは、細い方が内側になることに注意。

 

 

散財記録

最後に、今回の記事に載せたロードバイク関連グッズのうち、当方が実際に散財した費用を計算してみる。(実際はネット購入・店頭購入したものが混在するが、執筆時のAmazon価格を購入価格として計算している)

※ 当ブログは利便性の観点からAmazonへのリンクを多用した構成になっているが、決してAmazonのまわし者というわけではない、またアフィリエイト報酬を受け取るような設定はしていないため (設定の仕方が分からないだけともいう...)、安心してリンク先でポチって頂いて構わない。

 

 

今回の散財合計額 : ¥18,391
前回までの散財額 : ¥8,283

トータル散財額 : ¥26,674


うむ、まだまだかわいいもんだ。

 

次回は、ボトムブラケットのグリスアップを取り上げる。